2019 年 24 巻 2 号 p. 122-126
脳神経外科救急においては二次性脳損傷を最小限にし,将来の機能改善につなげることが重要である.そのためには初期診療として,全身状態の評価と安定化が重要である.しかし,脳神経外科疾患を扱う看護師に対する神経救急,急変への対応の教育の機会は限られている.当院の脳神経外科病棟でのPNLS準拠のガイドブックを利用した看護師研修の成果について報告する.脳神経外科病棟の新人看護師に対して,計3回のPNLSガイドブックを利用した研修を行い,第1回研修前と第3回研修後に急変対応の達成度(自信)についての意識調査を実施した.3回の研修会すべてに参加した新人看護師7人の研修前後の意識調査の結果を解析した.「急変対応」は研修前後で有意に達成度(自信)の向上を認めた(p=0.045).「脳神経外科患者の急変への対応で困った原因」は「何が起こっているか分からない」が57.1%と最多であった.新人看護師に対してPNLSガイドブックを使用した研修を行うことで,急変対応への達成度(自信)の向上を認めた.また,新人看護師が自信を持って急変対応ができない理由として,神経救急疾患や急変の病態理解が乏しいことが挙げられた.新人看護師研修において,PNLSガイドブックは神経救急疾患や急変の病態理解や対応を学ぶ有用なツールであると考えられる.