2019 年 24 巻 2 号 p. 213-217
初診時に熱中症と誤診され,くも膜下出血の診断が遅れた2例を報告した.熱中症とくも膜下出血は時に症状が似ていることがあり,特に頭痛・嘔気を呈する際にはそれを念頭において詳細な病歴聴取や,FASTを用いた脳卒中の検索が必要である.くも膜下出血では,予後を大きく左右する再出血の予防が重要であり,初期診療における急務である.熱中症として症状が典型的でない場合や病歴からくも膜下出血が示唆されるような場合は,頭蓋内の精査や脳卒中専門治療を行っている施設への紹介を検討すべきである.