2020 年 25 巻 2 号 p. 160-164
筆者は大学病院で2年間の脳神経外科研修を受けた後,後期研修の一環として病床数99床の2次医療機関で専攻医として勤務している.当科は救急診療を中心としており,筆者赴任後の9ヵ月間における受け入れ数は,救急車での来院が811例(53.3%,月平均90.1例)で,それ以外の来院が712例(46.7%,月平均79.1例)であった. これらのうち入院となったのは389例(25.5%)で,診療内容は,開頭手術13例(3.3%),血管内手術18例(4.6%),穿頭術27例(6.9%),その他9例(2.3%),保存的治療322例(82.8%)であった.筆者赴任前後で全救急患者に対する手術介入率は3.7%から4.4%へ増加し,特に赴任後の後期で5.9%であった.一方,当科の総手術件数のうち救急疾患の手術が占める割合は72%と大きく,手術件数確保には積極的な救急受け入れが欠かせないと考えられた.小規模施設では救急患者の初期診断から手術,周術期管理と一貫した診療を行うことができ,これらは基幹施設での研修では得がたいものである.基幹施設,連携・関連病院を含めてバランス良く研修することで,安全で確実な診療を行うトレーニングにつながると考える.