NEUROSURGICAL EMERGENCY
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Print ISSN : 1342-6214
blast-induced traumatic brain injury (bTBI): 損傷機序と病態
中川 敦寛大谷 清伸八木橋 真央佐久間 篤Hiroaki Tomita刈部 博Rocco Armonda久志本 成樹冨永 悌二
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2020 年 25 巻 2 号 p. 195-202

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抄録

 爆風損傷は爆発に伴い発生する爆風に暴露され生じる.一般の臨床医が経験する外傷機転に加えて,穿通物による機序,衝撃波を伴う圧損傷による機序が複合的に生体に影響を及ぼし,損傷が発生する.外傷初期診療ガイドラインに沿った対応を行うとともに,損傷時の状況の把握を含めて衝撃波を伴う圧損傷のリスク階層化と病態を考慮した治療を行う.通常の外傷とは異なる点があり,外科的あるいは脳血管内治療に際しては特徴を理解しておく必要がある.

 2020年東京オリンピック,パラリンピックを迎えるにあたり,わが国においても救急に携わる医療従事者,関係者も病態と診断・治療に関する一定の知識を持っていることが望ましい.本稿では,爆風損傷の機序,病態生理も含めた特徴,爆風による傷病者への初期対応を含めた診断,治療について概説する.衝撃波工学の見地から衝撃波,爆風の生体に及ぼす作用,爆風による外傷性脳損傷の発生機序,現在の爆風による外傷性脳損傷研究の問題点についても概説する.

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© 2020 日本脳神経外科救急学会

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