日本LCA学会誌
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研究論文
市町村産業連関表の作成・応用実態に基づく作表フローの構築
兵法 彩菊池 康紀
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2021 年 17 巻 3 号 p. 174-192

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抄録

基礎自治体では、少子高齢化や気候変動、生物多様性への対応など複雑化する社会課題の解決に向けて、地域特性を活かした施策設計・展開が求められる。地域産業連関表は特性分析や経済波及効果分析による直接・間接効果の把握における有用なツールのひとつであるが、基礎自治体のほとんどで整備・活用されていない。本稿では基礎自治体単位の地域産業連関表の作成実績に関する調査と、行政職員数から算出した作成負担率に基づいて、行政機関における作表フローを構築することを目的とする。実態に関する調査の結果、直近 5 年間の市町村産業連関表の作成実績は 167 市町村で全体の 9.6%と限定的となった。作成負担率による分析では、9 割以上の基礎自治体では単独で作表を実施するのは困難であることが示唆された。しかしながら、地域産業連関表の継続的な作表には行政機関の関与が必須であるため、地域の実情に応じた効率的な手法選択・外部機関との連携が重要であると結論づけた。

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