2020 年 25 巻 2 号 p. 275-281
本邦の破裂脳動脈瘤に対する治療手技選択割合は開頭術60‒70%,血管内治療30‒40%程度であるが,各施設で配分は大きく異なる.当院ではmassiveな頭蓋内血腫がない場合は速やかに全身麻酔下に脳血管撮影(DSA)を行い,安全性と根治性を総合的に考慮し治療手技を選択している.当院の初療体制と治療手技選択状況,成績を検証した.対象は脳動脈瘤破裂に対し根治的治療を行った107例.69例(64.5%)が開頭術,38例(35.5%)が血管内治療で治療された.重症例が多い割に(WFNS4‒5 55.1%)予後良好例(mRS 0‒2)は60.7%で成績は良好であった.当院搬入後から治療開始までの再破裂は4例(3.7%)でDSA待機中やDSA中の再破裂はなかった.現行の治療体制は適切と思われた.