2022 年 27 巻 1 号 p. 72-78
近年では高齢者重症くも膜下出血においても急性期脳動脈瘤コイル塞栓術で良好な治療成績が報告されている.多量の脳室内出血を伴う場合には,脳室ドレナージ単独よりも神経内視鏡下血腫除去術を施行した方が良好な成績を得られるとの報告も散見される.今回我々は特に予後不良とされる鋳型状脳室内血腫を伴う高齢者重症くも膜下出血に対し,急性期に脳動脈瘤コイル塞栓術と神経内視鏡下血腫除去術の複合治療を行った.高齢者かつ重症例では手術侵襲から積極的治療が避けられる傾向があり同様の手術報告は少なく,その安全性と問題点について報告する.