NEUROSURGICAL EMERGENCY
Online ISSN : 2434-0561
Print ISSN : 1342-6214
両側慢性硬膜下血腫合併の特発性低髄圧症候群に治療初期での硬膜外自家血注入が著効した2治療例
野村 和希豊岡 輝繁植木 航奥澤 惇鈴木 悠平佐藤 翔萩田 大地大塚 陽平竹内 誠大村 朋子和田 孝次郎
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2022 年 27 巻 1 号 p. 79-83

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抄録

 特発性低髄圧症候群(spontaneous intracranial hypotension syndrome: SIH)に,しばしば慢性硬膜下血腫(chronic subdural hematoma: CSDH)が合併することはよく知られている.血腫量が多くはないCSDHで,穿頭ドレナージ術の適応にはなりにくいが,画像的緊急性があると判断して緊急で硬膜外ブラッドパッチ(epidural blood patch: EBP)を施行した2症例を報告する.症例1は66歳男性,起立性頭痛を主訴に来院し,頭部computed tomography(CT)で脳底槽の圧排消失を認めたため,EBPを施行し改善した.症例2は40歳男性,同じく起立性頭痛を主訴に来院し,頭部CTで小脳扁桃の下垂を認めたため,EBPを施行し改善した.血腫が少量である際,CSDHにSIHを合併した症例でのEBPは穿頭ドレナージでの合併症を回避しつつ症状の改善が得られる有用な治療法であることが示唆された.

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© 2022 日本脳神経外科救急学会

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