2022 年 27 巻 2 号 p. 170-176
両側椎骨動脈のアテローム硬化性閉塞により急性の両側感音性難聴をきたし,経皮的血管形成術で治療した1例を経験したので報告する.
症 例:59歳男性,両側感音性難聴が出現した.MRIで右小脳半球および左後頭葉に脳梗塞を,CT angiographyで両側椎骨動脈の閉塞と後交通動脈を介した脳底動脈および後大脳動脈の血流を認めた.内科的治療を行ったが神経症状が悪化したため,緊急で経皮的血管形成術を施行し,左椎骨動脈の再開通と症状の改善が得られた.
結 論:内耳動脈は前下小脳動脈の終末動脈であるため,突発性の両側感音性難聴は両側椎骨動脈閉塞の前駆症状になりうる.他に明らかな神経症状がなくても,早期の画像検査と迅速な血管内治療が必要である.