2025 年 30 巻 1 号 p. 45-52
埼玉県の脳卒中搬送システムSaitama Stroke Network (SSN) の基幹病院において,就業時間が機械的血栓回収療法の治療成績に与える影響について明らかにする.2019年4月から2023年9月に前方循環の主幹動脈閉塞に対して機械的血栓回収療法を行った211例を対象とし,就業時間外と時間内の2群間で,患者背景,再開通までの時間および治療成績を比較検討した.128例(61%)が時間外群であった.時間外群において,door‒to‒puncture time(61分 vs. 53分)およびimaging‒to‒puncture time(40分 vs. 36分)はそれぞれ8分,4分延長したが,退院時の転帰に有意差は認めなかった.SSNによる搬送体制および院内ワークフローの徹底により,治療開始までの遅延は最小限に低減されている可能性がある.