抄録
本稿では、新型コロナが感染拡大した2020-2022年を経て、ドイツの首都ベルリンのインクルーシブ教育政策がどのように変化したのか、政策文書・各種報告書の資料を中心に検討した。論文の後半では2023年3月に実施した訪問調査にもとづき、ベルリン市州の前期中等教育段階における特別支援学校の巡回指導教員による授業の様子を紹介した。障害がある子どもについては、州政府により通常学校で学ぶことを選択することが保障されるとともに、特別支援学校のセンター的機能の一環として障害の状況に応じた巡回指導教員の派遣や、学校ヘルパーや補助的な教材、教具などの
支援機器の支給が保障されるようになっていた。