栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
食品のコリンに関する研究 (第8報)
食品のコリンにおよぼす加熱調理の影響
豊沢 功小倉 セイ
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1962 年 15 巻 4 号 p. 313-318

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抄録

1) 塩化コリン水溶液を各種のPHに調整して加熱し, コリンの回収実験を試みたところ, 170℃, 2時間の加熱では, 希薄溶液の場合はどのPHでも殆んど定量的にコリンが回収されるが, 370mg%の濃厚溶液をアルカリ性で加熱すると, 回収率がやや悪くトリメチルアミン臭が感じられる。また270℃ で濃厚溶液を短時間加熱しても同様のアミン臭が認められた。
2) 植物性食品を茹で操作, 煮る操作で調理した時のコリン損失率は, 材料, 調理方法などにより差はあるが, 一般にタケノコ40%, マツタケ20%, 里芋14%, ナス30%, ササゲ10%, キッベツ10-30%, ホーレン草30%であった。しかし焼く操作や空茹でではコリンは殆んど失なわれず, コリンの損失には水の存在がかなりの役割を演じていることがわかった。
3) 牛肉は焼く操作で約3%, 小さな角切りにして30分間水煮しても約18%で, 植物性食品にくらべてコリンの損失が少ない。牛肝臓もほぼ同様で30分の水煮で約18%の損失率であった。
4) 鰹節を50倍量の水と煮沸した場合の浸出液へのコリンの溶出率は, 加熱時間の長短で余り変らず約30%に一定している。なお, 煮干のコリン溶出率は鰹節にくらべて非常に少なく約1/3であった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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