栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
脱脂大豆の食用化に関する研究 (第3報)
脱脂大豆中のフイチンの幼白鼠化骨に及ぼす影響
道 喜美代長谷川 好亮土肥 由長
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1963 年 16 巻 4 号 p. 300-305

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抄録

(1) 脱脂大豆より水抽出調製した可溶性大豆蛋白質中にはブイチンーリン0.49-0.52%(全リン中の64-68%) が含まれるがこれよりフイチン酸をカルシウム塩としてpH8.5で沈殿, 脱フイチンを行ない, 低フイチン大豆蛋白質を調製した。
(2) 低フイチン大豆蛋白質を蛋白質源とし, リン給源として精製した大豆のブイチン酸ナトリウムおよび, フイチン酸カルシウムを用い, 幼白鼠の化骨に及ぼす影響を試験した結果, 飼料中全リン0.25%, うちフイチン-リン0.20%投与し, カルシウム量を等しくする時は29日後の脛骨灰分量は無機リン投与群に比し, 74-85%に低下した。また脱フイチンを行なわない大豆蛋白質を投与した試験群 (全リン0.25%, フイチンーリン0.174%) は低フイチン大豆蛋白質に無機リンを投与した試験群に比し脛骨灰分量86%であった。
(3) ビタミンD欠乏時に概して小腸のPhytase活性の低下が認められ, ビタミンD欠乏時には無機リン投与群でも化骨が阻害され, フイチンーリン投与群では化骨が一層阻害された。
(4) またフイチンーリン0.145%, その他のリン0.055%含む飼料および大豆蛋白質飼料 (フイチンーリン0.139%その他のリン0.066%含有) に僅少 (0.06%) の無機リンを補足する時は明らかに化骨はよくなることを認めた。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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