1965 年 17 巻 6 号 p. 397-404
シロネズミにカゼイン, 脂肪, 蔗糖, マツカラム塩からなる一定の合成食餌を与え, その中の脂肪の含量をかえて, シロネズミの毎日の摂食量と体重増加量をしらべて, 食欲に及ぼす影響を検討し, 同時に全身の栄養状態を観察して下記の成績を得た。
1) 大豆油16%含有食餌投与シロネズミの摂食量と体重増加率が最も大で且つ元気もよく, 剖検時の栄養状態も良好である。
2) しかし脂肪の量と種類とを大幅に変えて与えても, シロネズミの摂食量と体重増加は良好である。(ただ肝油の大量継続投与は有害に作用する) 。
3) 脂肪無投与シロネズミでも毎日平均3.5gの体重増加, 11gの摂食量で, 全身栄養状態良好, 皮膚変化も全くない。
4) 実験食餌中に脂肪以外の必須栄養素が十分に存在していれば, 健常シロネズミの摂食量・体重増加の割合はいずれも良好である。すなわち脂肪の多寡は健常シロネズミの食欲には影響がない。