抄録
幼児の熱量必要量算出に重要な基礎代謝値はその測定に幼児期特有の困難性が伴うため, 実測資料がとぼしい。この事実にかんがみ, 測定の比較的容易な安静時代謝値が基礎代謝値の予測を可能にし得るかどうかを検討するため, 同一幼児に基礎代謝と安静時代謝測定を実施し, その間の関係をしらべた。基礎代謝を測定したもの4~5才児21名 (男17, 女4) この中安静時代謝測定に成功したもの10名 (男8, 女2) で次の様な結論を得た。
1. 基礎代謝量は女児より男児が多く, 男の4才児1時間当たり34.07±2.96Cal, 5才児34.74±1.76Cal, 女の4才児31.85±4.18Calであった。
2. 身長, 体重, 体表面積を単位とした基礎代謝量はそれぞれ1時間当たり, 0.343Cal, 2.25Cal, 55.15Calで変動係数は体重単位で最も大きく, 身長単位で最も少なかった。
3. 基礎代謝と身長, 体重, 体表面積および窒素排泄量との関係では, 体重との相関が最も高くr=0.724を示した。
4. 安静時代謝量は1時間当たり39.75Calで基礎代謝に対し1.19±0.08の比率を示した。