抄録
ほうれん草中の硝酸および亜硝酸塩の含有量について, 葉身, 葉柄およびかぶに分けて測定した。 また, ポリエチレンフィルム包装貯蔵を行ない, 貯蔵方法および貯蔵温度による影響を検討した。 さらに硝酸塩の含有量について調理加工による変化ならびに缶詰ほうれん草および調理ほうれん草の貯蔵中の変化をみた。
1) ほうれん草中の硝酸塩含有量は42-2,575p. p. m. で個体差が大である。部位別に含量は異なり葉柄が多く葉身, かぶの順であった。
2) 生鮮ほうれん草の貯蔵中における硝酸・亜硝酸塩含量の変化はほとんどみられない。 亜硝酸塩はほうれん草20℃密封貯蔵10日後のものに検出された。 このほうれん草はやや腐敗したものであって食用にはしがたいものであった。
3) 調理ほうれん草では6℃貯蔵4日後に亜硝酸塩が検出され, 同時に硝酸塩は減少した。
4) 缶詰ほうれん草中では貯蔵中変化なく, 温度による影響もなかった。
5) ほうれん草を茹ることにより, 茹汁への硝酸塩の溶出は55.7~73.5%であり, 水でさらすことにより, さらに9.7 - 16.5%の溶出がみられ, ほうれん草中に残ったものは13.8 - 28.3%であった。