栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
成人女子における空腹時と摂食時の安静代謝の差異について
臥位安静時代謝の逐時的変化について (第2報)
大中 政治一寸木 宗一前川 昭男
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1976 年 29 巻 7 号 p. 369-376

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抄録

健康な女子学生5名を被験者として, 基礎代謝測定後それと同条件下で, 臥位安静時代謝を24時間にわたり経時的に測定し, また同時に血中サイロキシン, FFA, TG, ヘマトクリットあるいは脈拍数, 体温等の生理的諸機能をもあわせ測定した (空腹実験)。
つぎに, 臥位安静状態を維持するに最低限必要と思われる体表面積1mm2当り500kcal/日の食餌を3等分して8時, 11時半, 16時半に与え, 空腹実験時と同様の測定を行った (摂食実験)。
得られた結果は, つぎのようである。
1) 空腹実験における臥位安静時代謝は, 基礎代謝測定後3時間目頃から逐時的に増高し, 20時には基礎代謝量の19.3%増に当る最大の亢進を示した。その後もほとんど低下を示さず, 翌朝においてもなお基礎代謝量の13.5%増の亢進がみられた。また空腹状態を持続すると, R. Q. は0.7前後あるいはそれ以下となり, またFFAも経時的に増大することなどから, 体脂肪がおもなエネルギー源であることが明らかとなった。この際みられた代謝亢進は, 空腹や脱水等に起因するストレス状態によりサイロキシンの分泌が亢進し, このため体脂肪の過剰分解がおこったためであることが推察された。
このような傾向は, 前報の男子の場合とほぼ一致していた。
2) 摂食実験における臥位安静時代謝は, 19時までは特異動的作用の影響で空腹実験よりも高く, かつ摂食に伴う三相性の変化を示した。しかし翌朝には, ほぼ基礎代謝と同様の値にもどった。R. Q. や血糖もこれと同様な変動を示したが, サイロキシンはこのような変化を示な変動を示したが, サイロキシンはこのような変化を示さなかった。このことは, サイロキシンがSDAの発現と関係のないことを示すものである。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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