1. 京都郊外地域の小學校3年生男女17名につき1カ年に亙り毎月暗調應機能を檢査した結果では, 彼等の暗調應機能は概して不良で, ビタミンA投與により機能を高め得るところから考えても半數以上にビタミンA減少症があると言わねばならぬ。
2. ビタミンA減少症は春少く夏及び冬に多く, 男女の差は明らかでないが, 農家の兒童の方が俸給生活者及び商業の家庭の兒童より殊に冬季に發症が高度である。
3. 翌年同じ兒童の血中ビタミンA及びカロチン量を四季にわたつて測定した所, 兩者とも夏に最も少い傾向が見られ, 農家の兒童の値は秋冬の候地群より遙かに低値であつた。
4. 之等兒童の食事調査を行つてみるとビタミンAの攝取量が甚だ少く, 殊に農家の兒童に甚しいように思われた。擱筆に臨み今回の實驗に多大の御援助と御指導を頂きました公衆衞生院榮養部長中川一郎博士及び篠崎なみ氏に心からお禮を申上げます。