1) 市販粟穀粒より粟粉および抽出たん白質を調製し, それらのたん白質の栄養価さらに粟粉へのアミノ酸添加の効果を検討した。
2) アミノ酸分析および人工消化実験から, 粟粉は著しくリジン含量が低いのに対し抽出たん白質はバランスのよい必須アミノ酸組成を有し, また消化性も優れていることが示された。
3) 幼若ラットでの成長実験では, 抽出たん白質はカゼインより高いPER, NPRを示したが粟粉は体重を維持させるだけの効果しか示されなかった。一方, L-リジン塩酸塩およびL-スレオニンを添加した粟粉は抽出たん白質と同様の高いPER, NPRを示し, 粟粉へのアミノ酸補足の有効性が明らかにされ。
4) 成熟ラットを用いた実験において, 粟粉, アミノ酸添加粟粉および抽出たん白質の生物価あるいはNPUはカゼインの値とほぼ同等かそれ以上となり, 成熟期においては粟粉も十分価値あるたん白質源となりうることが示された。