栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
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柿の生化學的研究 (第1報)
無袋果と被袋果の比較
北原 増雄竹内 良光松井 優
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1951 年 4 巻 4 号 p. 138-141

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抄録

1. 昭和25年度に於て同一條件の下に栽培せられた富有柿の無袋果と被袋果の比較を, 成長状態並びに主要な化學成分の成長に伴う変化について行つた。
2. 成長状態には著しい相違を示さなかつた。
3. 硬度は生育の進むに從い低くなり, その傾向は無袋果, 被袋果共に同様であるが, 無袋果の方が常に稍々高い値を示縮した。
4. 水分は生育の進むに從い徐々に増加するが, 無袋果と被袋果とでは餘り差異を示さなかつた。
5. 糖分は全糖と還元糖は生育の進むと共に増加し, 非還元糖は減少するが, 無袋果と被袋果の差は著しくなかった。
6. タンニンハ總タンニンと可溶性タンニンとは生育と共に漸滅するが, 成熟期に入ると急激に減少し, 総タンニンは以後變化なく, 可溶性タンニンは消失するに至つた。無袋果と被袋県の比較では, いずれのタンニンも無袋果に多く被袋果に少なかつた。
7. ビタミンCは總量, 還元型, 酸化型いずれも殆んど同様の傾向を示しつつ9月初めまでは増加したものが以後漸減し, 11月の降霜を見てからは急激に減少した。無袋果と被袋果の比較では, 総量と還元型とは共に無袋果に於て幾分多く, 酸化型は被袋果の方が幾分多い傾向を示した。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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