dl-リジン・モノ塩酸塩及びCaの投与の幼児発育に対する影響を知るために3才から6才までの幼児16名に1.0gのdl-リジン・モノ塩酸塩及びCaとして540mgの炭酸Caを約16週間にわたり, 連続投与し, その間手骨の成長, 及びN, Ca及びPの出納をしらべた。実験成績を要約すれば次の通りである。
1. dl-リジン・モノ塩酸塩投与によつて, 蛋白質摂取量が40g, 蛋白質熱量/総摂轍が13%, リジン摂取量2.0g及びL/T 4.0を境として, それ以下の場合にはN平衡を高め, それ以上の場合には逆にN平衡を低下させた。
2. dl-リジン・モノ塩酸塩投与によりCa出納には影響は認められなかつた。
3. dl-リジン・モノ塩酸塩投与により骨成長を促進する傾向が見られた。
4. Ca投与によりN平衡に影響はなかつた。