神経理学療法学
Online ISSN : 2758-0458
研究論文(原著)
脊髄小脳失調症を対象としたBalance Evaluation Systems Test各セクションのKeyform開発
近藤 夕騎宮田 一弘板東 杏太中村 拓也原 貴敏髙橋 祐二
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 2 巻 1 号 p. 24-34

詳細
抄録

【目的】脊髄小脳失調症(spinocerebellar ataxia: 以下、SCA)患者個々のバランス能力を評価するために、Balance Evaluation Systems Test(以下、BESTest)が使用されることがある。近年、理学療法の優先順位を明確にできるKeyformが注目されている。Keyformは評価指標における項目毎の難易度を数値化および序列化することで、難易度を可視化することができる。そこで本研究では、SCA患者におけるBESTest各セクションのKeyformを開発することを目的とした。

【方法】SCA患者述べ81名を対象とし、BESTestを評価した。一次元性および内的信頼性を確認し、Rasch分析にてBESTest各セクションの項目別適合度指標と難易度を求めたのち、Keyformを作図した。

【結果】Section IおよびIIは一次元性を確認できず、内的信頼性はSection V以外で優れた信頼性を得られた。また、2項目の適合度が不良であったため、一次元性を確認できなかったSectionの二つと適合度が不良であった2項目を解析から除外したうえでKeyformを開発した。

【結論】SCA患者を対象として開発した本Keyformは、BESTestにおけるバランス課題の難易度を可視化できることから、個々のSCA患者に対して理学療法の目標設定と治療計画を適切に行う上で、利用価値のあるツールになると考えている。

著者関連情報
© 2023 日本神経理学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top