神経治療学
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Print ISSN : 0916-8443
ISSN-L : 2189-7824
原著
MRガイド下集束超音波による片側視床破壊術を施行した本態性振戦 ―12か月間の評価―
伊藤 恒山本 一徹福武 滋山口 敏雄平 孝臣亀井 徹正
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2020 年 37 巻 1 号 p. 43-46

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抄録

薬剤抵抗性の本態性振戦(essential tremor:ET)10例(男性8例,女性2例,67.1±17.5歳,全例右利き)に対してMRガイド下集束超音波(MR–guided focused ultrasound:MRgFUS)による左視床中間腹側核(ventral intermediate nucleus:Vim)破壊術を行い,12か月後までの有効性と安全性を検討した.治療直後から全例で右上肢の振戦が改善し,2例で振戦が再増悪したものの,右上肢のClinical Rating Scale for Tremorの平均値は12か月後まで約60%の低下が持続した.しかし,Quality of Life in Essential Tremor QuestionnaireのGlobal Impression Scoreの平均値は有意な改善を認めなかった.有害事象の大部分は軽微かつ一過性であり,治療から6か月後以降に新規の有害事象は生じなかった.MRgFUSによる片側Vim破壊術は薬剤抵抗性のETに対する治療選択肢の1つであるが,振戦の改善効果を高めるとともに,より多数例を長期に検討する必要がある.

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© 2020 日本神経治療学会
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