2021 年 38 巻 1 号 p. 61-64
症例は76歳女性.左蝶形骨洞の慢性副鼻腔炎を感染源とした細菌性髄膜炎に対して抗菌薬治療後,再発防止目的に内視鏡下副鼻腔手術V型および鼻内内視鏡下髄液漏閉鎖術を施行された.術後1ヶ月で37°C台の発熱と軽度の後頚部痛をきたし,項部硬直,脳脊髄液の多核球優位の細胞数上昇,蛋白の著増,糖の低下,髄液培養からの緑膿菌検出を認め,細菌性髄膜炎の再発と診断した.長期間にわたる抗菌薬治療にて症状は寛解した.
鼻性髄液漏に対して鼻内内視鏡下髄液漏閉鎖術を施行したにも関わらず細菌性髄膜炎を再発した1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.