神経治療学
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臨床研究
筋萎縮性側索硬化症患者の安楽な体位調整条件の共通性 ~体位変換全介助の患者を対象に~
篠澤 由香中村 典子丹羽 鈴美藤森 博美田川 綾子丹羽 篤町野 由佳
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2023 年 40 巻 1 号 p. 54-58

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抄録

筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)患者の体位調整は,患者が言語的コミュニケーション障害による意思伝達が困難である中で微細な体位調整条件の希望があり,介護者は患者の希望に沿うために,時間を費やす上に困難性を感じる.しかし,我々が日々体位調整を実践する中で,体位調整条件には大まかな共通性があると感じた.そこで体位調整条件の共通性と根拠を明らかにすることで,患者にとっての心地良い体位調整ができ,安楽に繋がるのではと考え研究に取り組んだ.対象は全介助による体位変換が必要なALS患者29名で,頭側挙上と側臥位の角度・上下肢の保持方法・枕・掛物の好みとその根拠を調査した.調査の結果,頭側・上下肢の挙上,低めの側臥位角度,枕・掛物の選択に体位調整条件の共通性を認めた.共通する体位調整条件の多くは,ALSの特徴である感覚機能が保たれるがゆえに自覚する苦痛症状の緩和対策と考えられた.共通する体位調整条件の活用により,安楽な体位調整が可能と考える.

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© 2023 日本神経治療学会
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