神経治療学
Online ISSN : 2189-7824
Print ISSN : 0916-8443
ISSN-L : 2189-7824
症例報告
仮想現実技術を用いた脳再プログラミング療法が脳性麻痺患者の痙縮に及ぼす効果
村川 雄一朗仲上 恭子新本 啓人原 正彦
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 41 巻 1 号 p. 55-59

詳細
抄録

痙縮は脳性麻痺患者で最も頻繁に認められる症候の1つである.歩行機能や日常生活動作能力の低下に繋がるため,ボツリヌス療法や選択的脊髄後根切断術,軟部組織解離術等の介入手段が存在するが,副作用による影響や治療による疼痛,侵襲性などが存在するため非侵襲的かつ効果的な治療が望まれている.今回我々は,脳性麻痺による痙縮を有する3例(11歳の男児,26歳の成人期男性,12歳男児)にmediVRカグラ®ガイド下脳再プログラミング療法を行い,痙縮の改善や各種日常生活動作能力の改善が得られた症例を経験した.VRリハには入院や痛みを伴う侵襲的な介入を必要としないため,学齢期や就労期の脳性麻痺患者の痙縮治療に対する有用性が示唆されたと考えた.また,自宅や施設での実施容易性も強みであると考えた.今後症例数を集積したさらなる検討が望まれる.

著者関連情報
© 2024 日本神経治療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top