抄録
データサイエンス・人工知能(AI)に対する社会的な期待の高まりやこの分野の様々な産業分野への適用が進み,データサイエンス・AI に関する教育が重要視されている.本論文では,東京都市大学にて数理・データサイエンス教育の一環として展開されている講義を分析対象とし,データサイエンス・ AI に関する教育が動機付けやキャリア形成にどのような影響を与えるかを分析した.具体的な分析対象講義は東京都市大学で行われたデータサイエンスリテラシー (1) の 2020 年度から2022 年度の3 年度分である.分析する項目は,期待価値理論における動機付け要因である内発的価値,獲得利用価値,成功期待の3 要因とキャリア形成の合計 4 要因であり,講義を受講した受講生への4 要因に関するアンケート実施し,得られたデータを分析した.3 年度分の分析や,学習者を初期の段階で4 要因の値が高い群と低い群で分類した上で分析を行った.分析の結果,内発的価値,獲得利用価値,成功期待での上昇が確認された.特に初期の段階で4 要因が低い学習者群では上昇を顕著に確認することが出来た.また詳細な教育効果の検証として,想定した教育効果モデルに対応する共分散構造分析を行った.その結果,内発的価値,獲得利用価値,成功期待を高めることがキャリア形成の向上に繋がることが確認された.年度による結果の傾向は異なるものの,本研究の対象講義がデータサイエンス・AI に関する動機付け要因やキャリア形成に良い影響を与えていることが示唆された.