日本情報ディレクトリ学会誌
Online ISSN : 2436-5629
Print ISSN : 1882-9252
最新号
日本情報ディレクトリ学会誌
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 2026 年24 巻1 号 p. 2-10
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/08/24
    ジャーナル オープンアクセス
    日本では動物の保護問題の根本的な解決には至っていない.犬や猫を「商品」として扱うビジネスモデルも問題視されている.ペットの入手経路を,ペットショップ経由ではなく,保護動物の保護・譲渡団体経由とすることは,動物の命を救うことにもつながるが,現状ではこうした保護・譲渡団体経由での入手ルートは十分に認知・利用されていない.そこで,本論文のリサーチクエスチョンは,「保護動物の保護・譲渡団体の譲渡をより促進するためにはどうしたらよいか?」とした.検証は,アンケート,インタビュー,フィールドワークにて行なった.調査結果から,保護・譲渡団体の活動を促進するためには,譲渡活動に対する潜在的な関心の高さを刺激し,デジタルチャネルにおける情報の質と双方向性を確保した発信をおこないつつ,専門スタッフによる対面ならではの安心感や納得感のあるマッチングが,譲渡希望者の意思決定に不可欠であることがわかった.
  • 2026 年24 巻1 号 p. 11-18
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/08/24
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,プロスペクト理論に依拠して若者(大学生)の情報行動を効用の観点から実証的に明らかにした.理論の適用にあたっては,①経験効用から決定効用への変化,②参照点としての現状の満足感,③損失回避性という三つの構成要素に着目した.分析では,知的・感覚的・情緒的情報に対する効用の差異を比較検討した.その結果,若者の情報効用は総じて高い水準で充足しており,なかでも感覚的情報に対する満足感が高いことが明らかとなった.また,感覚的情報に対する効用は,知的・情緒的情報に比べて,経験効用から決定効用への変化量が大きく,過去の印象と現時点での評価とが一致する傾向が確認された.これらの結果は,若者は情報そのものに楽しさや自己充足を見出しつつ,効用の低下を回避しながら情報行動を維持・継続していることを示唆している.
  • 2026 年24 巻1 号 p. 19-28
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/08/24
    ジャーナル オープンアクセス
    都市拠点における人の滞在・回遊は、交通結節機能と商業集積の配置によって形づくられ、再開発の進行に伴い段階的に再編される。新宿駅周辺では、1996 年の高島屋新宿店開業を契機に南口の吸引力が高まり、2016 年のバスタ新宿整備によって南口は広域交通の結節点としても位置づけられた。さらに2025 年以降は西口再開発が進展し、駅周辺の拠点配置は多中心化に向けて変化しつつある。本稿は、新宿駅周辺を複数エリアに区分し、エリア間移動を確率的状態遷移として表現するマルコフ連鎖モデルにより、各開発段階における人流構造の変化を比較・考察する。
  • 地元ベーカリーとの連携による意思決定支援モデルの構築
    2026 年24 巻1 号 p. 29-40
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/08/24
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,地元ベーカリーと連携し,通常営業日における販売数予測プログラムを開発した.従来の販売数予測は職人の経験に依存しており,職人が不在となる場合には判断が困難となる可能性がある.そこで,過去の仕込み数データに加え,天候や曜日などの客観的特徴量を機械学習モデルに組み込み,職人以外でも職人と同等の予測が可能な販売数予測プログラムを開発した.さらに,コードに不慣れな卒業研究生が生成AI を活用して開発に取り組み,高度な専門知識を前提としない人材でもプログラム開発に参画できる可能性を示した点も本研究の特徴である.本研究は,地域小売店舗における経験依存型意思決定の形式知化を試みるものであり,その成果は食品ロスや機会損失の抑制に向けた検討の基礎資料となることが期待される.
  • 2026 年24 巻1 号 p. 41-50
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/08/24
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,日本語テキストコミュニケーションにおける書き手と読み手の間の感情的共鳴 を定量化したものである.Suzuki et al.(2022)のWRIME データセットを用い,Plutchik の8 感情に基づく書 き手と読み手の感情ベクトル間のユークリッド距離を「共鳴距離」として定義した.分析の結果,感情強度 が高いほど共鳴距離が大きく,共鳴が生じにくい傾向が示された.また,共鳴しにくい書き手ほどネガティ ブな語を多く使用する傾向がみられ,強い感情表出や否定的表現が書き手と読み手の間の感情の共有を妨げ る可能性が示唆された.
  • 国会議事録の計量的テキスト分析を通じて
    2026 年24 巻1 号 p. 51-60
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/08/24
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,国会において「地域共生社会」がどのように語られ,どのような語彙群と接続しながら展開してきたのかを明らかにすることを試みたものである.1947 年から2025 年までの国会議事録から当該語を含む発言を抽出し,KH Coder により頻出語分析・時期別比較・共起ネットワーク分析を行った.分析の結果,同概念は①理念的・探索的段階②制度化・法制化段階③運用・実装段階の三段階に区分でき,関連語彙の中心が理念表現から制度や体制整備に関する語へと移行していた.また,全期間において支援や地域などの語が安定して確認され,概念が特定の対象に限定されず用いられてきたことが示唆された.これらの結果から,「地域共生社会」は時期ごとに異なる政策語彙群と接続しながら国会で用いられてきたことが示唆された.
  • 2026 年24 巻1 号 p. 61-68
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/08/24
    ジャーナル オープンアクセス
    音楽ストリーミングの成長は著しく,デジタル時代の音楽ビジネスで中心的な役割を果たすことも期待される.一方で,音楽産業が発展していくためには,無名だが潜在力のあるアーティストを支援していくことが不可欠である.本論文ではデジタル時代におけるアーティストへのユーザーからの直接支援の可能性について,ペルソナを用いた検証を行ない,カスタマージャーニーマップとして可視化することで検証した結果,ユーザーの支援行動は突発的に生じるのではなく,認知・興味・利用・共感といった段階を経て形成される傾向が確認された.アンケート調査(N=190)においては,利用者からの直接支援機能を導入する際には,支援のハードルを下げる仕組みや,ユーザーが支援によって得られる具体的なメリットの提示が重要であることがわかった.
  • クラスター分析と繰り返しゲームによる分析
    2026 年24 巻1 号 p. 69-77
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/08/24
    ジャーナル フリー
    本稿は、①M&A ついての先行研究をまとめ、②M&A 仲介企業のサービス業界内でのポジションがどのようなものであるかを実証し、③M&A 仲介企業のサービス業界内でのポジションがどのように築かれるかを理論的に分析した。②においては、階層的クラスター分析と非階層的クラスター分析の両方をもちいてM&A 仲介企業がサービス業界内で収益性と安全性の高い固有のポジションにあることを示した。③においては、繰り返しゲームの理論によって、1)M&A の買い手企業と売り手企業が将来を重視しており、2)企業価値評価の知識が民間企業に蓄積されていて各企業の想定する売買価格が大きく乖離しない状況では、M&A 仲介企業が買い手企業を囲い込むことを示した。そして、この囲い込みによって収益性と安全性の高いポジションが築かれることも示した。
  • 2026 年24 巻1 号 p. 78-85
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/08/24
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,マクドナルドのハッピーセット「ポケモン」をめぐる騒動を対象に,企業が公 表した対応・謝罪文とYahoo!ニュースコメントに表出した生活者反応の乖離を計量テキスト分析で可視化す る.企業声明文およびヤフコメをスクレイピングし,KHCoder で共起ネットワークと対応分析を実施した. 結果として企業側は「制限」「運用」「対策」「実施」等の手続き語彙を中心に語る一方,生活者側は「転売」 「廃棄」「フードロス」「子ども」「公平」等の評価語彙を中心に語り,統合対応分析でも両者は同一空間上で 分離した.これは問題フレーミングの不一致に基づくレジティマシー・ギャップを示すが,この結果,危機 広報では対策提示に先立ち,生活者の痛点を同語彙で言語化する共感型設計が重要であることが示唆された.
feedback
Top