日本情報ディレクトリ学会誌
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最新号
日本情報ディレクトリ学会誌
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 2024 年 22 巻 1 号 p. 2-9
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/06/07
    ジャーナル オープンアクセス
    新規に作成した文書に付与するタイトルの検討に当たり、過去の文書群の中から内容が同じ文書のタイトルを候補として提示する支援機能を開発している。この中で本研究は、タイトルの意味まで考慮して候補を提示するために、自然言語処理の手法を用いてタイトルの意味をベクトル化し、ベクトル間の類似度をもとに可能な限り文書の内容が同じタイトルのみを抽出し得る最適な類似度のしきい値を調査した。fastText、BERT、SBERTの各手法で算出した類似度を比較した結果、手法によって類似度が高くなる文書の特徴が異なることが判明した。そこで、複数の手法で算出した類似度の調和平均を用いて再度検証した結果、fastTextとSBERTによる類似度の調和平均が0.96以上の場合に抽出されるタイトル157組のうち141組(90%)の文書の内容が一致し、各手法で個別に求めた類似度で判定した結果よりも高い精度が得られた。
  • 2024 年 22 巻 1 号 p. 84-89
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/06/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文では、コロナ禍が終息しても、バーチャル観光は、有益なサービスとして、生活者に受け入れられ続ける可能性はあるのではないかという問題意識をもって研究を進めた。バーチャル観光をA.リアルタイム参加型バーチャル観光B.オンデマンド動画視聴型バーチャル観光 C.ヘッドマウントディスプレイ利用型バーチャル観光の3つの方式に整理した。そして、A,B,Cに対する仮説を提示し、アンケート等により検証した。結果、AとBに関連する仮説は支持されたが、Cについては検証できなかった。バーチャル観光の一部は、コロナ禍が終息しても、その魅力が認められて、有益なサービスとして継続する可能性があるが、すべてのバーチャル観光が受け入れられるわけではない。バーチャル観光を推進しようとする旅行会社は詳細に検討してビジネスを進めていく必要がある。
  • 2024 年 22 巻 1 号 p. 90-102
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/06/07
    ジャーナル オープンアクセス
    評定スコアのエビデンスとなる職務パフォーマンスに対する評価コメントの内容が,評定スコアと関連性がある場合,評定スコアの検証に有益な情報となる.そこで,企業が求める職務パフォーマンスを文書化した行動アンカーに関連する語句を抽出するコーディングをし,テキストマイニング分析をおこなった.その結果,行動アンカーの反映した語句は約2割のケースで出現し,評定スコア高群により多く出現した.次に,評定スコアの高低差を反映する評価コメントの特徴を明らかにするため,修飾語や人の印象を示す語用を分析した.結果は,否定形を伴わない肯定語はスコア高群で,否定語はスコア低群で多く出現した.さらに,行動目的とポジティブな人格特性に関する語用はスコア高群に,配慮表現の語用はスコア低群に多く出現した.テキストマイニングの結果をそのまま判定に利用するには更なる検証が必要であるが,被評価者の全体的な把握とともに,評定スコアが乖離する場合や評定バイアスがかかっているなど,エラーの抽出に利用できる可能性がある.
  • 2024 年 22 巻 1 号 p. 103-109
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/06/07
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、ロジスティクス領域における消費者物流、とくに宅配便事業の重要性がこれまで以上に高まっている。宅配便大手による緻密な物流ネットワークが社会のインフラストラクチャーとして広く活用されているのである。しかしながら、再配達率を下げる決定的な対策は今日まで講じられない状況が続いている。置き配、宅配ボックス、店舗受取などの対策は行われてきたが、いずれも効果は部分的にしか発揮されていない。 そこで、本論文ではコンビニエンスストアなどでの宅配便の受取りについて、既存の方法について分析と考察を行い、改善スキームを提案した。宅配便事業会社にとってコンビニなどの店舗は、集荷拠点として利用が開始され、その後、受取拠点の役割が付加された。そのため、コンビニエンスストアなどの受取拠点の利用を不在再配達削減策の一つとして確立するためには、効率化が必要である。店舗への配送について、営業所でセールスドライバーが個人世帯向けの荷物と混載するのではなく、宅配便センターから指定エリア内への専用配送便を設けることにより、効率化が可能になることを提案、考察した。
  • 2024 年 22 巻 1 号 p. 110-119
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/06/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,機械製品の荷卸と据付に必要な作業用車両の台数を予測するモデルを構築し,性能評価と,予測モデルに基づく要因分析と専門技術者による妥当性の評価から,有効性や信頼性を確認したものである.実験データセットには,日本とタイから収集した68件の事例を採用した.予測モデルには決定木を採用し,特徴量選択・交差検証・ハイパーパラメータチューニングを経て構築した.結果は,予測性能として,マクロ平均F1スコアが平均で0.8以上であることが確認された.また,予測に重要とされた特徴量や分岐条件が専門技術者の判断基準と合致しており,妥当性があることが確認された.ただし,10t以上24t以下のコロ引きローラーの予測モデルにおいて,予測性能が他と比較して低く,専門技術者の判断基準と合致していないことが確認された.今後は,さらなる事例の収集やドメイン知識の反映から,より複雑な関係性を捉えられるモデル構築を目指す.
  • 2024 年 22 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/06/07
    ジャーナル オープンアクセス
    新規に作成した文書に付与するタイトルの検討に当たり、過去の文書群の中から内容が同じ文書のタイトルを候補として提示する支援機能を開発している。この中で本研究は、タイトルの意味まで考慮して候補を提示するために、自然言語処理の手法を用いてタイトルの意味をベクトル化し、ベクトル間の類似度をもとに可能な限り文書の内容が同じタイトルのみを抽出し得る最適な類似度のしきい値を調査した。fastText、BERT、SBERTの各手法で算出した類似度を比較した結果、手法によって類似度が高くなる文書の特徴が異なることが判明した。そこで、複数の手法で算出した類似度の調和平均を用いて再度検証した結果、fastTextとSBERTによる類似度の調和平均が0.96以上の場合に抽出されるタイトル157組のうち141組(90%)の文書の内容が一致し、各手法で個別に求めた類似度で判定した結果よりも高い精度が得られた。
  • 2024 年 22 巻 1 号 p. 18-27
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/06/07
    ジャーナル オープンアクセス
    海保青陵は, 伝統的な儒学の潮流から誕生した経済理論の最高峰の人物である。江戸時代には, 新井白石, 荻生徂徠, 熊沢蕃山等を始めとして, 多数の儒者と経世家が輩出して, 実に多士済々であった。本稿の主人公もその一人である。しかし, 軽視されてきた。本稿執筆の目的は, 海保青陵の経済思想を分析考察し, 後世経済思想への貢献に関して, 若干の考察を試みる事にある。
  • 2024 年 22 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/06/07
    ジャーナル オープンアクセス
    ゲーム実況動画は多くの消費者に親しまれており、ゲームタイトルへの広告効果も期待されているが、ゲーム会社の著作権を侵害しているという指摘もある。先行研究ではゲーム実況動画がゲームタイトルにもたらす影響を定量的に分析しているが、著作権の所有者であるゲーム会社を対象とした広告効果の調査は見られなかった。そこで本研究ではゲーム会社がゲーム実況動画を活用して広告効果を得る方法を明らかにすることを目的とし、ケーススタディとインタビューによる調査を行った。その結果、影響力が大きくなったゲーム実況動画の活用はゲーム会社にとって非常に重要なことであり、ゲーム会社はゲーム実況動画の投稿を許容し、その活動をサポートすることで、ゲームタイトルのコミュニティの活性化や楽しさの共有、共感の促進などの広告効果を期待できることが分かった。
  • 2024 年 22 巻 1 号 p. 34-44
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/06/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は, トンネル内の照明灯具の腐食・損傷を, AIを用いて自動判定することを目的としている. これまでの点検は主に人の目視に依存しており, その人の経験値などによって, 判断基準の一貫性に課題があった. 本研究では, 深層学習の1つである畳み込みニューラルネットワーク(CNN)と, さらに高度なモデルであるResNetを用いて照明灯具の腐食・損傷の判定を行った. また, 従来の判定手法はすべての教師データに物体検出のためのバウンディングボックス(Bounding Box)という長方形の枠で対象を囲う処理を行う必要があり, 実用的な作業量ではなかった. そこで本研究では, 物体検出ための処理を行わずに照明灯具の腐食・損傷を判定する手法を採用し, 実際にAIが照明灯具の形状を捉えていることが確認された.
  • 2024 年 22 巻 1 号 p. 45-54
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/06/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文は研究論文における単語「見る力」の利用法について調査することである。リサーチクエッションは次の2点を設定する。1. どのような学術分野に「見る力」を含む論文は存在するのか? 2. 単語「見る力」は研究論文の中でどのように使われているのか?研究方法は文献調査とし30件の文献を対象に調査した。研究結果として、本単語を含む論文の大半が教育分野に存在していることがわかった。また当単語の使われ方として、「見る力」を直接的な関心事にしている場合と、教育資源や環境に関心事がある場合の2点がみられた。特に後者では、当単語は他の論点を強調するために便宜的に利用されていることが確認された。
  • 2024 年 22 巻 1 号 p. 55-65
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/06/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文は戦後新学制の学習指導要領において初めて示された構文分析について史的に研究する。戦前の旧学制では5文型に依拠した英語の教授・学習が一般的となっていた。戦後新学制では1958年に発表された『第2回改訂中学校学習指導要領』において初めて5文型による学習指導が示された。しかし,『中学校高等学校学習指導要領 外国語科英語編(試案)』(1952年)では5文型とは異なった接近法による動詞型が示された。これは,動詞を統語素性により25種の構文に分類するものであった。本論文では,新学制発足前後の英語教育の歴史に関する新しい研究をもとに,学習指導要領で動詞型が提唱されるまでの経緯を明らかにする。
  • 2024 年 22 巻 1 号 p. 66-75
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/06/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文では現場/記憶指示において中国語では指示語が使われるが日本語では指示語が使われないケースをとりあげ、日本語と中国語の指示語の機能の違いについて考察した。結果としては、6つの構造において中国語指示語が必須であり、特定化、具体的な属性を指す機能を果たしている。一方、日本語文に指示語が必須ではないか不使用である。中国語は具体的な場面があるかどうかに関係なく各物事を具体的に特定化されない限り、出来事全体は特定の意味にならない。一つずつの事物を限定するために指示語が用いられる。一方、日本語では現場指示において具体的な場面さえあれば、出来事も各物事も特定の意味が付与される。指示語で各物事を限定する必要はない。
  • 2024 年 22 巻 1 号 p. 76-83
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/06/07
    ジャーナル オープンアクセス
    データサイエンス・人工知能(AI)に対する社会的な期待の高まりやこの分野の様々な産業分野への適用が進み,データサイエンス・AI に関する教育が重要視されている.本論文では,東京都市大学にて数理・データサイエンス教育の一環として展開されている講義を分析対象とし,データサイエンス・ AI に関する教育が動機付けやキャリア形成にどのような影響を与えるかを分析した.具体的な分析対象講義は東京都市大学で行われたデータサイエンスリテラシー (1) の 2020 年度から2022 年度の3 年度分である.分析する項目は,期待価値理論における動機付け要因である内発的価値,獲得利用価値,成功期待の3 要因とキャリア形成の合計 4 要因であり,講義を受講した受講生への4 要因に関するアンケート実施し,得られたデータを分析した.3 年度分の分析や,学習者を初期の段階で4 要因の値が高い群と低い群で分類した上で分析を行った.分析の結果,内発的価値,獲得利用価値,成功期待での上昇が確認された.特に初期の段階で4 要因が低い学習者群では上昇を顕著に確認することが出来た.また詳細な教育効果の検証として,想定した教育効果モデルに対応する共分散構造分析を行った.その結果,内発的価値,獲得利用価値,成功期待を高めることがキャリア形成の向上に繋がることが確認された.年度による結果の傾向は異なるものの,本研究の対象講義がデータサイエンス・AI に関する動機付け要因やキャリア形成に良い影響を与えていることが示唆された.
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