抄録
われわれは下顎骨に生じた骨未分化高悪性度多形肉腫の2例(65歳女性と77歳男性)を経験し,その1例では術前化学療法が奏効した。下顎骨に発生する骨未分化高悪性度多形肉腫に関しては,まず速やかに病理組織学的な診断を行うことが最も重要である。そして,十分な切除域を設定できる早期に,手術療法を検討することが重要と考えられる。時に,急速な増大をとり,既に来院時に切除域の設定が困難と診断される症例がある。その際には,術前化学療法が検討されるが,下顎骨に発生する骨未分化高悪性度多形肉腫の頻度はまれな上に,詳細な報告が少ない。術前化学療法の検討にあたり,このような症例報告の蓄積は必要と考え,報告を行った。