抄録
Sタンパク欠損症(PSD)は抗血液凝固反応を抑制するため,PSD患者はワーファリンなどによる抗凝固療法が必要である。PSD患者では,手術前後の出血や血栓形成などの合併症を生じさせないように様々な試みがなされている。PSDのためにワーファリンを内服していた62歳の女性に対して,ワーファリンを中止することなく外来で智歯の抜歯を行った。抜歯時のPT-INRは2.56であった。患者は術後の止血を目的に止血床(SAS)を装着して帰宅し,術後に合併症は認められなかった。PSD患者の場合であっても,今回用いたSASによりワーファリンを中止することなく抜歯などの小手術を外来で安全に施行することができると考えられる。