抄録
ファジィ制約充足問題は人工知能の基礎戦術として知られる制約充足問題(CSP: Constraint Satisfaction Problem)を拡張したモデルである.CSPおよびファジィCSPにおいて, 変数の領域は有限離散集合として定義される.しかしながら数理計画法に代表されるように, 現実には変数領域として実数値をとる場合も多く, 現実世界の問題をCSPとして定式化する場合に制限となることがある.本論文では, より自由な問題表現を可能にするため, 変数領域が連続領域および離散領域を併せ持つ混合領域ファジィCSP(HDFCSP: Hybrid Domain Fuzzy CSP)を提案し, 反復改善に基づくその解法Spread Repairアルゴリズムを提案する.また実験により, 連続領域を単純に離散化して得られる従来のファジィCSPアルゴリズムと比較し, 解の質および計算時間の面でHDFCSPおよびSpread Repairアルゴリズムが優れていることを示す.