抄録
本稿では,一対比較法を使ったショケ積分の被積分関数f(入力値)の同定方法を提案する.AHP などで使われる一対比較で,程度を表すことばと一対比較値の対応表は,多くの場合,固定した値が設定される.まず,簡単な実験を行い,一対比較の対象により対応表のパラメータが異なることを示す.ショケ積分の入力値は,すべての評価項目で同じ評価単位を持たなくてはならない.そこで,入力値の同定者には,一対比較の回答の他に,理想点と満足点の要素を回答させる.対応表のパラメータを調節することにより,満足点と理想点の評価値をすべての評価項目で揃え,同じ評価単位を持つという条件を満足させる.最後に,評価対象がとりうる値の集合が有限離散集合の場合とLogit 回帰にあてはめた連続値の場合の同定例を示す.