抄録
本研究では,これまでに安心感の定量的評価の実現を目的とした安心度評価モデルについて提案してきた.本論文では,安心度評価モデルについて紹介し,提案モデルの妥当性の検証について報告する.質問紙を用いて安心感に関する意識調査を実施し,得られた統計データを用いて因子分析を実行した.その結果,1)社会的信用と安全性に対するユーザの期待感,2)ユーザインタフェースを介して得られる満足度,3)ユーザの主観と経験に基づくリスク理解の3 因子が安心感要因として抽出可能であることを確認し,提案モデルを支持する安心感の構造を示した.今後の課題として,抽出された安心感因子を用いて,あるシステムに対するユーザの主観評価値を予測するためには,これらの因子を定量的に考慮した予測方法の定式化または数量化手法の検討が望まれる.