知能と情報
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原著論文
アバターを利用した主観アノテーションのための感情表現とその一貫性に関する検討
伊藤 冬子佐々木 康成廣安 知之三木 光範
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2008 年 20 巻 4 号 p. 487-499

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抄録
近年,weblog(blog,ブログ)や写真共有サービスなどにおいて日記や写真など自らの体験を記録したコンテンツを共有し,それらに様々な情報をタグとしてユーザ自身が付与することでコンテンツ管理を行うことが一般化してきている.本稿ではこのようなユーザの手動のアノテーションのうち,感情や意思などの主観的な情報をコンテンツに付与する行為を主観アノテーションと定義した.現在はタグによる主観アノテーションが一般的であるが,主観情報の中でも感情に関しては言語表現のみでは表現できない場合が存在すると考えられる.そのため,本稿では顔,手,足の動きを操作可能なアバターを主観アノテーションにおける感情表現の方法として利用することを提案した.本稿では,アバターから想起する感情を実験により測定し,時間経過を伴う場合でも個人が想起する感情に一貫性が存在することを確認した.また,複数人の間においても同様に一貫性の存在を確認した.このことから,アバターによる感情表現で,タグと同様にコンテンツの分類などに利用できることが分かった.さらに,記事や写真などのコンテンツに対して抱いた感情の表現能力や表現の容易さに関して,言語表現であるタグと非言語表現であるアバターを比較したところ,アバターの方が満足のいく感情表現が可能であることが分かった.また,文脈やメッセージを読み取ることが難しい写真などが対象コンテンツの場合は,曖昧で言語化が難しい感情を抱きやすいことから,アバターによる感情表現が好まれることが分かった.
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© 2008 日本知能情報ファジィ学会
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