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原著論文
仮想磁場漸弱法:磁場パラメータを導入した組み合わせ最適化問題の解探索法とその有効性
和久屋 寛宮崎 真梨
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2008 年 20 巻 6 号 p. 872-882

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抄録

近年提案された仮想磁場漸弱法とは,ホップフィールドネットワークとスピングラス理論の類似性に着目した組み合わせ最適化問題の新しい解探索法である.これは,外部磁場を徐々に弱めることで安定なスピン配列を実現するという物理学世界の思考実験をホップフィールドネットワーク世界に導入したもので,対応するニューロン閾値を仮想的な磁場パラメータとみなして制御し,最適解を求めようとする非常に簡便な手法である.先行研究によれば,仮想磁場パラメータの導入で正答率が改善するとの報告があるものの,その極性反転(負値→正値あるいは正値→負値)が重要であるとの指摘もあり,これまでのところ,その詳細については不明なところが多い.そこで本論文では,これまでの経緯を含めて問題点を整理したうえで,Nクイーン問題やナンバー・プレイス問題を取り上げ,さらに複数の仮想磁場パラメータ設定法を用意して,その検証を行った.その結果,いずれの課題においても,仮想磁場パラメータの極性反転が正答率改善に結び付いていることを確認し,その有効性を明らかにした.

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© 2008 日本知能情報ファジィ学会
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