2009 年 21 巻 5 号 p. 884-893
本稿では非ホロノミックの特性を有する劣駆動マニピュレータについて議論する.劣駆動マニピュレータは関節数よりも少ないアクチュエータを装備しており,関節の一部には非駆動関節を持つ.この非駆動関節の影響により通常のマニピュレータよりも複雑な制御を必要とし,問題解決のために現在多くの研究が行われている.また劣駆動マニピュレータを適用した場合に考えられる利点としては,アクチュエータ数を減少させることによる軽量化や省エネルギー化,コスト削減等が挙げられる.本研究では劣駆動マニピュレータを制御するために各リンクに応じたエネルギー領域を構成し,論理型切換え法でのその境界曲線にファジィルール表現を導入することにより,あいまい性を含ませ制御器の切換えに柔軟性を持たせる,ファジィエネルギー領域切換え法を考案している.制御対象である3リンク2アクチュエータの劣駆動マニピュレータについて,エネルギー領域を2次元平面で構成する場合,複数の組み合わせが存在する.ここでは2次元面でのエネルギーの射影形態と制御性能について考察し,各組み合わせに対するシミュレーション結果を示す.