知能と情報
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原著論文
曖昧さを表現する概念形成モデル
西田 豊
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2010 年 22 巻 4 号 p. 434-442

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抄録
本稿では,事例のファジィクラスタリングと特徴の次元縮約を同時に行うファジィ概念形成モデルを提案する.人間が行う概念形成過程は教師なし学習と考えられる.概念を形成することは事例間の類似性から事例の最適な分割を見いだすことにほかならない.つまり,クラスタリングであると考えられる.提案モデルは人間が行う概念形成の特徴として2つの仮定を有する.一つは,特徴次元を縮約し,クラスタリングに有効な情報量の多い合成された特徴を利用していると言うことである.観測事例から抽出された特徴をすべてを用いれば,精度の高いクラスタリング結果を得ることができるだろうが,人間のリソースは有限であるため観測事例から抽出される大量の特徴をすべて用いているとは考えにくい.もう一つは,人間が持っている概念構造はファジィであると言うことである.ある概念を特徴づける,必要十分な定義的特徴は多くの場合存在しない.多くの事例に共有される複数の特徴が概念を形成させていると考えられる.この家族的類似性という観点から,人間の概念は曖昧さを持っていなければ成り立たないと考えられる.本研究では,事例のクラスタリングと特徴の次元縮約を同時に行う reduced k-means 法をエントロピー正則化によりファジィ化したモデルを提案し,その心理モデルとしての妥当性と限界を2つの数値実験と評定データを用いて考察した.
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© 2010 日本知能情報ファジィ学会
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