知能と情報
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原著論文
口唇局所領域の形状解析に基づいた顔画像のグループ化手法
高橋 毅景山 陽一西田 眞
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キーワード: 生体情報, 口唇形状, 口裂, 分類
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2013 年 25 巻 2 号 p. 676-689

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抄録

発話に伴う口唇の動き特徴である口唇の縦幅や横幅の伸縮度合いの時系列変化は,個人識別ならびにコマンド識別に有用な特徴となることが明らかとなっている.この口唇の動き特徴はパスワード等と同様,必要に応じて登録データ(発話内容)の変更が可能であり,登録データの盗難に対する強みを有する.また,ビデオカメラやウェブカメラなど,共通の機器で特徴量が取得可能であるため,個人認証(ログイン操作)に引き続き,コマンド認識(情報機器等の入力や操作)が可能である.しかしながら,多数のユーザーが使用する状況を想定した場合,その個人認証・発話認識の信頼性は高くないのが現状である.このため,口唇そのものが有する個人固有の形状特徴を解析し,得られた結果を信頼性向上に用いる手法の開発は,口唇の特徴を用いた個人識別・発話認識システムの構築において,重要な課題と考える. そこで本論文では,口唇が有する局所的な形状特徴を統計的に解析し,形状解析に基づいた個人のグループ化手法について検討を行った.提案手法では,口唇を3つの矩形領域A ~ C(以後,局所領域A ~ C と呼ぶ)に分割し,①上唇および下唇の厚さ比率,②口裂の凹凸形状,③アスペクト比を特徴量として算出し,その解析結果に基づいてグループ化のための口唇形状カテゴリ(27 カテゴリ)を構築した.なお,カメラにより得られる画像データには撮影環境の微小な変化によるあいまいさが含まれるため,提案手法のグループ化アルゴリズムではファジィ推論を用いて口唇の形状分類処理を行った. グループ化の精度を確認するため,被験者52 名を対象に分類実験を行ったところ,80%以上の精度で登録データおよびその類似形状と同一の形状に分類され,照合対象の絞り込みが可能であることが示された.また,k - means 法との比較においても提案手法は良好な分類精度を有することが明らかとなった.

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© 2013 日本知能情報ファジィ学会
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