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用語解説
ブレイン・コンピュータ・インターフェース
山ノ井 高洋
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2014 年 26 巻 6 号 p. 239

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抄録

ヒトが高齢になると生体のハードウェアは故障が多くなる.そして,脳死判定と言う言葉が象徴するように,最終的に機能が維持されるのは脳である.したがって,脳波を取り出してインターフェースを行うのは最終あるいは究極の手段である.この分野の研究ではブレイン・マシン・インターフェース(BMI)という言葉が先行していた.BMIといっても一般によく知られているボディ・マス・インデックスではない.ここでのBMIとは,脳波の微細な信号を計測器(マシン)によって取り出し,ヒトとのインターフフェースを取るというものである.最近はほとんどのマシンがコンピュータを介しているので,ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)と呼ばれるようになっている.

この分野では米国 John Donoghue 氏のグループの一連の研究が先駆的であった.一方,国内においても,ATR川人光男氏のグループを中心として,EEGとfMRI を用いた大規模なBCIの研究を進めており,第27回福井のファジィ・システム・シンポジウムの特別講演で氏の話を聞いた会員も多いと思う.

ヒトがスクリーンのアルファベットを見ている脳波から単語生成したり,サルが歩行している時の脳波を取り出し,その出力をインターネットで遠隔地に送り,ロボットに歩行させたり,サルの脳波でロボットアームを操作し,自分の所に餌を供給させたり,と基礎研究の段階は様々である.これらを始めさまざまな研究機関で行われている結果に関しては,YouTube で沢山の動画が公開されているので,そちらを参照されたい.

しかしながら侵襲的なBCI は,電極そのものをサル等の脳に挿入し,その出力を利用するもので,初期の実験では,ボランティアが挿入された電極からの感染症でなくなった例もある.我々は,非侵襲的に医学診断で脳波を計測するのと同様な方法で,実験と研究を行っているが,手前みそながら,将来は非侵襲的BCI へと研究の主流は移ってゆくと思われる.

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© 2014 日本知能情報ファジィ学会
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