抄録
人々がある街を散策する時,どのように道を選び,何を見ているのだろうか.道の選び方は新しい都市景観を展開し,その新しい都市景観は人々を新たな方向へいざなう.したがって,これらは互いに他方を誘発する関係にある.しかし,その街を初めて訪れる来訪者の経路選択と都市景観知覚は,その街に長年住んでいる居住者のそれらとは異なる.多くの都市が試行錯誤で観光産業に多くの力を注いでいるが,来訪者の無意識の行動に関する規則性を科学的に理解し,それを観光に応用することが重要である.本論文は,実験データに基づき,経路選択と都市景観知覚について居住者と来訪者との比較を行う.