知能と情報
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原著論文
楽譜と表情を関連付けた統計モデルに基づく鍵盤楽器演奏の自動生成手法
奥村 健太酒向 慎司北村 正
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2016 年 28 巻 2 号 p. 557-569

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抄録

本稿では,特定の演奏者が持つ表情の特徴に忠実な演奏の自動生成を目的とした手法を提案する.多くの既存手法は演奏生成に際して演奏者が有するような専門知識の入力を必要とする.それらは使用者自身が演奏者として介在する用途には有用であるが,本提案の目的には不向きである.提案手法では演奏者による実際の演奏事例から得られる表情の特徴に対し,楽譜から専門知識を用いることなく得られる情報を関連付けたモデルを定義する.さらに楽譜の指示を基準に用い,個々の演奏事例について定義したモデル群をその表情の特徴別に分類することで,任意の演奏事例に付与された表情の特徴と楽譜の指示との因果関係を体系的に記述した規則を構造化できる.この構造を辿ることで,未知の楽譜の指示に対応する演奏事例の候補が得られる.これらの候補の中から最適な表情を備えた演奏事例の系列を探索する問題を,動的計画法の適用によって解決する.客観評価実験により,提案手法は最適な事例の系列を効率的に探索できることを示した.また,主観評価実験によって提案手法による表情の品質の高さを確認したほか,多様な楽曲で演奏者に忠実な表情の特徴を再現できることを示した.なお,提案手法による演奏は,自動演奏表情付けシステムのコンテストにおいて自律生成部門の第1位を獲得している.

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© 2016 日本知能情報ファジィ学会
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