我々は,ウェアラブル脳波遠隔計測システムAir Brainを開発してきた.本システムの最大の特徴は,いつでも・どこでも・誰でも,安価かつ容易に脳波と人間行動の遠隔計測が可能になる点である.本研究では,開発したAirBrainを用いて,記号を黙読したときの事象関連電位を判別するBCIを検討した.スマートフォンのモニターに表示した記号を黙読したとき,矢印の方向に依存したERP極性が右前頭葉付近で観察された.記号提示後,400msから700msあたりで,上矢印の記号を提示した場合に正の極性を持つ事象関連電位が,下矢印の記号提示した場合に負の極性を持つ事象関連電位が発現した.提示された記号を黙読した場合,記号の方向の判別率は9割に達した.この結果は,従来の知見と一致し,ウェアラブル脳波遠隔計測システムAir Brainを用いたBCIの実現可能性が示唆された.