知能と情報
Online ISSN : 1881-7203
Print ISSN : 1347-7986
ISSN-L : 1347-7986
用語解説
Wikification とEntity Linking
小林 暁雄
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 28 巻 6 号 p. 200

詳細
抄録

誰でも執筆・編集が可能なウェブ上の百科事典であるWikipedia では,記事文書中に記述された用語に対し,その用語の意味を解説する,Wikipedia 中の他の記事を引用するためのリンクを設定することができる.この構造と同様に,Wikipedia 以外のテキストに対して,そこに記載されている用語から適切なWikipedia 記事へ自動的にリンクする手法は,Wikification と呼ばれている.Wikification は,Mihalcea ら[2007]によって,Wikipediaを知識源(Knowledge Base ; KB)として使用することで,テキストからの用語抽出と語義曖昧性解消を同時に行う課題として提案され,またそれを行うシステムも同時に提示された.これは,自然言語処理分野における大きな課題である,固有表現抽出,語義曖昧性解消に対する新たなアプローチであった.このため,自然言語処理のワークショップである,Text Analysis Conference(TAC)におけるKnowledge Base Population(KBP)Track では,固有名詞(Named Entity)に対して,Wikipedia,あるいはDBPedia, YAGO などのWikipedia を基礎としたオントロジーを知識源として対応付けを行う,Entity Linking またはEntity Discovery and Linkingがサブタスクとして設定された.

これらのタスクの初期の研究では,一語ずつリンクを行う非集合的アプローチによるものが行われていたが,次第に,記事全体中の用語全体が,意味的に関わり合いが強くなる傾向を用い,記事中の用語を一度に推定する,集合的アプローチもとられるようになった.近年では,複数言語間でのWikification またはEntity Linking などの研究もおこなわれている.

著者関連情報
© 2016 日本知能情報ファジィ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top