知能と情報
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原著論文
多次元正規分布からのファジィ区間データに基づく近似的ベイズ推定
吉川 伸一
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 31 巻 2 号 p. 672-689

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抄録

最近の計算機技術や計測技術の発展・成熟の影響で,多次元データを取り扱う機会が増えている.多次元データ処理を主眼とする研究報告は多く,それらは多次元データの統計的解析の枠組みを構成することを目的としている.多次元データ処理を主眼とする統計的解析の方法論の構築は重要である.本論文では,多次元確率空間から得られるファジィ区間データに基づく近似的ベイズ推定の方法を提案する.ただし,提案する手法はZadehが提唱したファジィ事象の確率概念に基づいている.ファジィ区間データはメンバシップ関数を用いて特徴づけられ,それを直接的に取り扱うと計算上非常に複雑になるという難点がある.しかしながら,本論文で提案しているメンバシップ関数の中心値を代表値として用いる手法であればその問題を解決できる.また,母集団のパラメータに関する事前確率分布が多次元正規分布であり,かつファジィ区間データも多次元正規分布から得られるとき,事後確率分布も近似的に多次元正規分布となることが提案している手法により解析的に示すことができる.さらに,提案手法を具体的に説明するために数値例を行っている.ここでは,台形型メンバシップ関数が左右対称型ではなく,非対称な形状として得られる状況を設定し,提案手法が柔軟に対処できることを示している.その結果,本手法の有用性を示すことができた.

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© 2019 日本知能情報ファジィ学会
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