2019 年 31 巻 6 号 p. 876-886
観光客の周遊行動の実態を明らかにするにあたり,アンケート等の既存調査方法には,限られた期間しか調査できない等の課題がある.本研究では,安価に継続的な調査を行うことが可能なWi-Fiパケットセンサーを用いて沖縄本島内の観光周遊行動の実態把握を行った.調査機器を空港,クルーズターミナル,主要観光地等に設置し,ユニークIDのクレンジング条件を適切に限定することで,クルーズ船,空港国内線・国際線・格安航空会社ターミナルといった一次交通手段別の来沖観光客の周遊データを構築した.その統計分析より,周遊行動パターンには一次交通手段によって有意な差異が存在することが明らかになった.また,数は少ないものの,同一の観光客に対してETC2.0プローブデータにより得られるレンタカーによる移動軌跡とWi-Fiパケットセンサーにより得られる駐車後の周遊行動をマッチングできることも確認された.