知能と情報
Online ISSN : 1881-7203
Print ISSN : 1347-7986
ISSN-L : 1347-7986
原著論文
コミュニケーションエージェントのための忘却モデルの生成
橋本 智己鈴村 修平
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 32 巻 1 号 p. 643-652

詳細
抄録

人間の忘却状況を推測し,適切な介助介入をするロボットが期待されている.本稿では,コミュニケーションエージェントのためのエピソード記憶の忘却モデルを提案する.まず,被験者にある文章を聞かせ,その直後に自由再生記述させる.さらに約1ヶ月後再度自由再生記述し,被験者の忘却状況(量,質)を文字数とアイデアユニットによって調査する.その調査結果に基づいて,コミュニケーションエージェントのための忘却モデルを生成する.実験の結果,読み上げ直後は文章全体からまんべんなく文章を抜き出すことが適当であり,1ヶ月後では主題となる部分を中心に抽出することが適当と思われた.本稿では,読み上げ直後の忘却モデルは,コミュニケーションエージェントの驚きの感情値が高い文章とした.また,1ヶ月後の忘却モデルは,ピークエンドの法則を考慮してコミュニケーションエージェントの6感情の総和の最大値の文章とした.さらに別文章に対して忘却モデルによるシミュレーションを行い,被験者の忘却状況や自動要約と比較し,モデルの有効性と課題について検討した.

著者関連情報
© 2020 日本知能情報ファジィ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top