2021 年 33 巻 1 号 p. 525-530
近年,医療や金融など識別結果に対する根拠が求められる分野において,識別器の解釈可能性が盛んに議論されている.ファジィ遺伝的機械学習は,解釈性に優れた識別器を設計する手法の一つである.一方で,クラス不均衡なデータにおいて,少数派クラスの高い識別性能が要求される場合がある.このとき,ファジィ遺伝的機械学習により生成される識別器は,少数派クラスの識別性能が他クラスより低下する.本研究では,少数派クラスの識別性能を向上させるために,ファジィ遺伝的機械学習に対して4つの変更を行う.1) ルールの評価関数にクラス毎のパターン数による重み付け,2) ルール集合の評価にクラス毎の識別精度の調和平均を利用,3) ヒューリスティックルール生成のベースパターンをクラス毎の識別精度を基に選択,4) ルール後件部にクラス間のパターン比率による重み付け.数値実験では,各変更が識別性能に与える影響を調査し有効性を示す.