知能と情報
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33 巻, 1 号
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目次
巻頭言
特集1:「FSS2020 ショートノート」
特集2:「シングルボードAI:入門と実践」
特集2 解説
一般解説
報  告
書  評
用語解説
会  告
学会から
編集後記
特集1:FSS2020ショートノート
ショートノート
  • 井上 聡子, 徳丸 正孝
    原稿種別: ショートノート
    2021 年 33 巻 1 号 p. 501-505
    発行日: 2021/02/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,意外性のある情報をユーザに提示し,ユーザのセレンディピティを誘発するための推薦システムを提案する.提案システムは,ユーザが興味のある写真と関連する学問を用いて,意外性のある情報を提示する.実験では,提案システムを被験者に利用してもらうことによって,被験者にセレンディピティを誘発できたか検証を行った.実験の結果から,多くの被験者にセレンディピティの獲得を実感させることができ,意外性の指標に学問を用いることの有効性を確認できた.

  • 簡 志文, 酒井 浩
    原稿種別: ショートノート
    2021 年 33 巻 1 号 p. 506-510
    発行日: 2021/02/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    トランザクションデータ処理のためにAgrawalによって提案されたアプリオリ法を利用し,表形式データからのルール生成とその実行環境の構築を進めている.今回,さらに得られたルールを使う意思決定支援を再検討する.意思決定支援へのルールの応用は古くから扱われている問題であるが,最近のAIにおける結論付けのブラックボックス化問題を補完する手法としてその必要性が増していると考える.ブラックボックス化に対してIT企業から“説明可能なAI(Explainable AI)”のためのツールも公開されている.本稿ではFSS2020での発表を基に,ルールを利用し結論を十分に説明できる機能について考察する.

  • 山本 駿介, 塚田 義典, 芳賀 勝己, 花田 和彦
    原稿種別: ショートノート
    2021 年 33 巻 1 号 p. 511-514
    発行日: 2021/02/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    鉄鋼材料の溶接部内部の品質評価には,超音波探傷試験の他に,放射線透過試験が用いられている.放射線透過試験は,放射線が試験体内を透過する性質およびフィルムを感光させる性質を利用して,試験体内の空洞や異物等をフィルムに投影する方法である.得られたフィルム画像の品質評価は,人が目視で行っている.そのため,経験則に依るところが大きく,習熟に時間を要し見逃しが発生する等の課題がある.そこで,本研究では,AI(CNN)を用いて,放射線透過試験のフィルム画像からきず箇所を自動で判定する手法について考察する.

  • 亀阪 亮紀, 星野 孝総
    原稿種別: ショートノート
    2021 年 33 巻 1 号 p. 515-519
    発行日: 2021/02/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は画像認識分野において大きな注目を集めており,様々なアプリケーションへ適用され,近年では,IoTデバイスなどの組み込みシステムでの実用化が期待されている.しかし,CNNは計算コストが高く,高速化には一般的にGPUが必須で,小型の組み込み機器などの省電力システムへの実装は消費電力等の観点から困難である.また,近年FPGAは自動車やセキュリティシステム,工業製品の欠陥検査などの画像処理技術分野に応用されている.ハードウェアアクセラレーションは,処理速度を向上させる手法の1つであり,画像処理の分野でよく用いられる.そこで,本研究では,畳み込みニューラルネットワークのハードウェア化を目的とし,畳み込みニューラルネットワークの高速化を目指す.本稿ではハードウェアベースの畳み込み層の設計・実装を行い,リアルタイム性の検証を行った結果について報告する.

  • 平島 景, 重井 徳貴, 杉本 知史, 石塚 洋一, 宮島 廣美
    原稿種別: ショートノート
    2021 年 33 巻 1 号 p. 520-524
    発行日: 2021/02/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて航空写真から 土地利用の分類を行う手法の精度向上について検討する.提案手法として, GISデータの地図記号から効率よくラベル付けされたデータを生成する手法, および,この手法を用いて半教師あり学習を行うことを提案する.6クラス の土地利用分類において,提案手法の有効性を示す.

  • 西原 光洋, 増山 直輝, 能島 裕介, 石渕 久生
    原稿種別: ショートノート
    2021 年 33 巻 1 号 p. 525-530
    発行日: 2021/02/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    近年,医療や金融など識別結果に対する根拠が求められる分野において,識別器の解釈可能性が盛んに議論されている.ファジィ遺伝的機械学習は,解釈性に優れた識別器を設計する手法の一つである.一方で,クラス不均衡なデータにおいて,少数派クラスの高い識別性能が要求される場合がある.このとき,ファジィ遺伝的機械学習により生成される識別器は,少数派クラスの識別性能が他クラスより低下する.本研究では,少数派クラスの識別性能を向上させるために,ファジィ遺伝的機械学習に対して4つの変更を行う.1) ルールの評価関数にクラス毎のパターン数による重み付け,2) ルール集合の評価にクラス毎の識別精度の調和平均を利用,3) ヒューリスティックルール生成のベースパターンをクラス毎の識別精度を基に選択,4) ルール後件部にクラス間のパターン比率による重み付け.数値実験では,各変更が識別性能に与える影響を調査し有効性を示す.

  • 面﨑 祐一, 増山 直輝, 能島 裕介, 石渕 久生
    原稿種別: ショートノート
    2021 年 33 巻 1 号 p. 531-536
    発行日: 2021/02/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    マルチラベル多目的ファジィ遺伝的機械学習は,進化型多目的最適化手法により識別器の識別性能最大化と複雑性最小化を同時に考慮したファジィ識別器の学習手法である.しかし,マルチラベル識別問題において,識別性能に対する尺度が複数存在し,各評価尺度に対して最適な識別器を獲得するためには識別器の学習を複数回実行する必要がある.そこで本研究では,一度の実行で複数の識別性能評価尺度に対して最適な識別器を同時に獲得する多数目的最適化への拡張を行う.数値実験では,多数目的化したことによる探索性能への影響を多目的最適化の場合と比較することで調査する.

  • 藤井 祐人, 増山 直輝, 能島 裕介, 石渕 久生
    原稿種別: ショートノート
    2021 年 33 巻 1 号 p. 537-542
    発行日: 2021/02/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    パレートフロント上の1点に対応する解が複数存在する問題として,マルチモーダル多目的最適化問題がある.進化型マルチモーダル多目的最適化アルゴリズムでは,パレートフロントとパレートセットへの高い近似性能の両立が求められる.しかし,多くのアルゴリズムはパレートフロントへの収束性を優先的に考慮しているため,パレートフロントへの近似性能に比べてパレートセットへの近似性能が低くなる.本研究では,パレートフロントとパレートセットへの高い近似性能を両立する分解ベースの進化型マルチモーダル多目的最適化アルゴリズムを提案する.提案手法では,スカラー化関数と決定変数空間上の多様性評価関数の2目的問題に変換して解を探索する.2目的問題への変換により,パレートフロントへ収束している解のみならず,決定変数空間上の多様な解が保持される.数値実験を通して,提案手法のパレートフロントとパレートセットへの高い近似性能を示す.

  • 増山 直輝, 坪田 一希, 能島 裕介, 石渕 久生
    原稿種別: ショートノート
    2021 年 33 巻 1 号 p. 543-548
    発行日: 2021/02/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    クラスタリング手法はデータの次元削減や特徴量の抽出に適用される事例が多い.しかし,クラスタリング手法は入力されるデータ構造に合わせて柔軟に知識を獲得可能であるため,識別器への応用が期待されている.クラスタリング手法を識別器として適用する従来研究として,データのクラスごとにクラスタリング手法を適用し,識別境界を明確に学習する手法が提案されている.しかしながら,学習の不安定性や処理速度が遅い問題が指摘されている.本研究では,優れた自己組織化性能と高速な学習を両立するFastTopological CIM-based ART(FTCA)による識別器を提案する.数値実験により,提案手法が従来手法よりも優れた識別性能を有することを示した.

  • 芝田 龍正, 三上 剛, 秋月 拓磨, 大前 佑斗, 高橋 弘毅
    原稿種別: ショートノート
    2021 年 33 巻 1 号 p. 549-554
    発行日: 2021/02/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    我々は,ジェスチャ動作時の表面筋電位を用いた個人認証の可能性について検討を進めている.被験者5名に対し,6つのジェスチャを行った際の表面筋電位をそれぞれ10回ずつ測定した.我々の以前の研究では,取得した筋電位信号データの最大値,最小値,最大値の時刻,最小値の時刻の4つの特徴量を用いてSupport Vector Machine(SVM)によるジェスチャ識別を行った結果,ジェスチャを本人のものと識別するジェスチャ識別率は66.7%であった.本論文では,ジェスチャ識別率の向上を目的として,特徴量を増やし,増やした特徴量からランダムフォレストを用いた識別に重要な特徴量の選択を行い,先行研究との比較のためSVMによるジェスチャ識別を行った.その結果, 80%以上のジェスチャ識別率を得ることができた.また,先行研究では有効ではないとされていた周波数領域における特徴量にもジェスチャ識別において有効である特徴量が存在することがわかった.

  • 丹治 佑哉, 野本 弘平
    原稿種別: ショートノート
    2021 年 33 巻 1 号 p. 555-559
    発行日: 2021/02/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    本稿では,駅前通りの色彩についての定量的評価と,それが景色の印象にもたらす影響とについて扱う.複数の駅前通りにおける歩行映像を撮影し,その景色の色彩分布をL*a*b*表色系を用いて定量化した.また,実験参加者にそれらの映像を視聴させ,SD法によって実験協力者の主観的な景色の印象を調べる実験を行った.結果として,印象要因には刺激性と空間性とがあり,それぞれ刺激性は景色の色彩分布,空間性は注視の空間分布に影響されていることを明らかにした.

  • 楠瀬 翔也, 四宮 友貴, 牛若 昂志, 前田 長正, 星野 孝総
    原稿種別: ショートノート
    2021 年 33 巻 1 号 p. 560-565
    発行日: 2021/02/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    免疫細胞の活動解析にAIを適用し自動化する需要は近年高まっており,その理由の1つとして解析者の人材不足が挙げられる.培養撮影された動画をフレームごとに進めながら活動を確認し解析するため,多くの手間がかかる.そこで,AI識別器をもちいて細胞画像を自動的に切り出すことができれば作業時間の短縮につながる.本研究ではこれらの作業短縮を目指す.AI識別器にはCNNという深層学習手法を用い,まず細胞画像を学習させて識別器の性能評価を行った.その結果,CNNが良い認識性能を発揮することを確認した.次に認識度の高い領域の累積頻度を算出し免疫細胞を自動的に選択するための「認識頻度空間」を定義し,細胞として認識される詳細な位置情報を生成することができた.これらを用いて実際の動画像のフレーム画像から,10個の免疫細胞を正確に切り出すことができた.本報告では,複数免疫細胞を自動的に切り出すことができたことを示す.

  • 三井 悠也, 宮崎 椋瑚, 吉元 裕真, 石田 裕太郎, 伊藤 太久磨, 通山 恭一, 田向 権
    原稿種別: ショートノート
    2021 年 33 巻 1 号 p. 566-571
    発行日: 2021/02/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,自動運転技術における自車位置推定のために,You Only Look Once(YOLO)を処理に組み込むことで道路標示検出システムの性能向上を行う.従来手法では,輝度値に基づくテンプレートマッチングで道路標示を検出する.しかし,この手法では日光による白飛びや標示の掠れにより検出できないものが存在する.これに対し,提案手法ではYOLOで道路標示の存在する領域を探索し,テンプレートマッチングの適用範囲を制限する.これにより,誤検出の発生を抑制でき,テンプレートマッチングの検出閾値を下げ,これまで未検出であった道路標示の数を削減できる.また,テンプレートマッチングの探索領域も制限され,処理速度も向上できる.実験の結果,提案手法は誤検出数は0のまま,従来手法よりも未検出数を低減できた.また,従来手法と比較してシステムのAccuracyは0.013,処理速度は4.6 FPS上がった.

特集2 : シングルボードAI:入門と実践
実践研究論文
  • 鯵坂 志門, 中村 壮亮
    原稿種別: 実践研究論文
    2021 年 33 巻 1 号 p. 572-581
    発行日: 2021/02/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    近年,通信・機械学習技術の進歩により,屋内の各種機器(照明,空調など)を知的制御するスマートハウスに関する研究・開発が盛んである.本稿では,このようなスマートハウスを実現するためのシステムを提案し実装する.提案するシステムはそのアーキテクチャにおいて大きく2つの特徴を有する.1つは,システムに必要な諸デバイスを分散配置させる「分散デバイス的アプローチ」であり,もう1つは知的制御のために必要な推論器をデバイス内・ローカルネットワーク内・クラウドネットワーク内と複数のレイヤに分けて実装する「マルチレイヤ的アプローチ」である.これらの特徴により,柔軟かつ効率的にスマートホームのシステム構築が可能になる.また,実装するシステムに関しては,Google Cloud Speechを用いた音声認識,ローカルネットワーク内に配置したJetson TX2による人物姿勢認識を使用し,ソフトウェアプラットフォームとしてROSを使用した.これにより,将来的な機能の拡張や性能向上を容易に行うことが可能である.

一般論文
原著論文
  • 岨野 太一, 今井 倫太
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 33 巻 1 号 p. 582-592
    発行日: 2021/02/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    本論文では,目的のない散歩において,人と一緒に散歩するパートナーとなるロボットの発話の量について検討する.発話の量の調整は,話者に対する聞き手の印象や,会話自体の印象に対して大きく寄与する要素である.散歩においても,一緒に歩くパートナーとの会話は,散歩自体の印象に寄与すると考えられ,発話量に関する知見を得ることは大変重要である.本論文では,4種類の発話量のロボットに対して,参加者内計画による検証実験を行い,発話量についての多寡の感覚と,発話量による印象の変化について調査を行った.結果,4~5秒の短文の発話において,発話の開始から次の発話の開始までが10秒である場合に発話量が多いと感じ,40秒だと少なく感じるという知見が得られた.また,発話の開始から次の発話の開始までが20秒以下である場合,散歩のパートナーとしての評価や好ましさ,知的かどうかの印象の面で,他条件に対して有意に高評価であった.

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