2025 年 37 巻 3 号 p. 649-661
本論文では,インタビュー対話コーパスのために信頼性の高い発話意図タグを設計し,発話意図タグ付きのインタビュー対話コーパスを構築した.発話意図タグの設計では,インタビュアーのインタビュー技術を分析してインタビュー対話システムに反映することを念頭に,質問タグや回答タグに加え相槌タグや感想タグなど第一階層8種類,第二階層14種類を設計した.設計したタグをインタビュー対話コーパスの1対話につき3名または5名がアノテーションした.アノテーションの作業者間のタグの一致度を評価したところ高い信頼性が得られた.また,作業者による発話意図タグの不一致について調査した.具体的には,インタビュアーとゲストそれぞれの最も多い不一致タグの組み合わせの例について考察した.その結果,インタビュアーが意図的に曖昧に質問している文があり,タグ付与作業者が付与するタグの判断に迷うことが分かった.