日本口腔インプラント学会誌
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特集 海外の基礎研究はインプラント治療をどう変えたか?:From Bench to Clinic
インプラント周囲炎予防のための基礎的研究:ハーバード大学との共同研究
鬼原 英道畠山 航近藤 尚知
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2019 年 32 巻 2 号 p. 126-132

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抄録

多くの研究において,インプラント周囲炎の病態は歯周病に類似しており,プラークの蓄積を原因として周囲粘膜に炎症が惹起されると報告されている.一方,インプラント周囲粘膜の組織像は天然歯のものと異なり,結合組織付着および上皮付着が弱く,感染に対して抵抗性が低いとされている.これまでに,インプラント周囲炎に関するさまざまな治療法が報告されているが,確実な治療法は示されていない.このような状況下で,インプラントの長期予後獲得のためにさまざまな基礎的研究が行われており,その一つとしてインプラント粘膜貫通部の強化に関するものが挙げられる.

2015年よりわれわれ岩手医科大学補綴・インプラント学講座は,ハーバード大学歯学部と,チタンと軟組織の接着の向上を目的とした共同研究を行っている.われわれの研究では,純チタン研磨面にPAリンカーを介して上皮細胞誘導ペプチドを結合し,上皮細胞の強固な接着を確認している.この研究を通して,さらに今後の軟組織接着研究の展望を考察する.

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© 2019 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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